乾癬(かんせん)について                    サノ皮膚科クリニック

乾癬とは・・・厚い銀白色の鱗屑(うろこのようにはげる薄皮)を表面につける紅斑(赤くて平らな発疹)が頭、ヒジ、ヒザをはじめ体中にできる病気で、かゆみを伴います。多くは青年〜中年に発症し、ながく続きますが必ずしも一生ではなく、治りきることもあります。

原因は・・・不明ですが、普通の人が6週間かけて皮膚を新しくしているのに対し、乾癬の患者さんは4〜7日で皮膚を新しくしているために発疹が生じます。頻度は・・・日本人では0.3%、白人では2%ぐらいです。伝染は・・・他人にうつることは決してありません困る事は・・・主としてかゆみと外見です。

 経過は・・・良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、長く続きます。

この病気の対処法・・・いまのところ根治させる治療法はありませんので、患者さんが快適に暮せ、仕事や学校や日常生活に支障をきたさないように、発疹をコントロールするのを目的に治療を行います

乾癬を分類すると、尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、の4型になります、また15%に乾癬性関節炎を合併します。患者さんのほとんどは尋常性乾癬です。

治療は・・・以下のような治療があります。

1ステロイド外用・・・即効性があり、効果、副作用ともよく分かっているので、もっとも行われている治療です。ただし、アトピー性皮膚炎などに比べ強いステロイド外用剤でなくては効かず、また治療期間も長いので、副作用に注意が要ります。副作用としては、外用部ににきびがでる、皮膚が薄くなるなどですが、いずれも中止で軽快します(詳しくはステロイド外用剤のパンフレット参照)。

2ビタミンD3軟膏外用・・・即効性はないのですが、長期間使うと十分な効果があり、良くなってからの、再燃までの期間が長い(寛解期が長い)のが特長です。またステロイド外用剤のように皮膚が薄くなったりしないので、顔などステロイド外用剤の副作用の出やすいところに使用したり、ステロイド外用剤と併用して、ステロイド外用剤の使用量を減らすのに使います。また、ステロイドとビタミンD3の両方の成分を含む軟膏もあります。

3Narrow-band UVB療法(ナローバンドUVBのパンフレット参照)・・・特殊な紫外線を当てる治療法です。週数回の照射を長く続けます(すくなくとも10回以上)。なお当院には小型の照射機のみ置いていますので部分照射になります。全身照射は順天堂練馬病院や東京医科歯科大学、その他病院への紹介となります。

4オテズラ錠内服・・・ステロイド外用剤等で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者さんまたは、難治性の皮疹または関節症状を有する患者さんに用います。また、爪乾癬の患者さんも試してよい治療法です。腎臓で代謝されるため、腎機能の検査が必要です。

5エトレチナート(チガソン)内服・・・外用薬ではコントロールできない重症の場合、もしくはステロイド外用剤の副作用を避けたい場合に内服します。外用剤に比べ、大きな効果が得られます。催奇形性があるため、男性は内服中および内服中止後6ヵ月、女性は内服中および中止後2年の避妊が必要です。また肝機能に異常がでる場合があるので、採血による副作用チェックが必要です。

6シクロスポリン(ネオーラル)内服・・エトレチナートやオテスラ錠で十分な効果がでない場合、皮疹が体表面積の30%以上に及ぶ場合などに用います。腎障害の発現率が高く、シクロスポリンの血中濃度の測定や、腎機能の検査が必要です。副作用が大きいため、主として病院で導入します。

7生物学的製剤既存の全身療法(紫外線療法を含む)などの適切な治療を行っても、皮疹が体表面積の10%以上に存在する場合、もしくは難治性の皮疹、関節症状または膿ほうを有する重症の患者さんが適応です。効果も副作用も大きいため、病院で行う治療です。また高価です。

その他・・・かゆみと赤みを抑えるため抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤(別紙パンフレット参照)を併用します。また日光浴にて改善する方もいます。

なお、当院ではステロイド外用とビタミンD3軟膏外用による治療および保湿剤によるスキンケア、抗アレルギー剤内服を中心に治療を行っています。                   (20195月改変)